消毒についてアルコールと次亜塩素酸の使い分け。

こんにちは。薬剤師のまるです。

人体に使用してはいけない成分をあたかも安全なように販売しているサイトや商品がたくさんあります。

ドラッグストアなどで消毒用のアルコールが販売していますが、それが消毒用なのか、消毒に使用できない危険な成分なのか、わからずに間違えて購入するリスクもあります。また人体に使用いても良い成分なのか、ダメなのか。

どの程度の濃度なら殺菌力のある消毒薬として有効なのか。

など、消毒薬について正しい成分を選べるようになるために、そして正しく使用できるように解説してゆきます。

 

■新型コロナウイルスに有効な消毒の成分とは

▼現時点で有効とし使用されている消毒成分

・60~80%エタノール(WHOガイドラインより)

・次亜塩素酸ナトリウム

次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の塩素系漂白剤の成分です。身近なものを消毒するためには、水で0.05%に薄めて拭いた後水拭きをしましょう。噴霧については、絶対に行わないでください。

 

▼まだ有効性がわかっていない消毒成分

・次亜塩素酸水

・4級アンモニウム塩類

例:塩化ベンザルコニウム

例:塩化ベンゼトニウム

・二酸化塩素

・次亜塩素酸水は、塩酸又は食塩水を電解することにより得られるものをいいます。この定義とは異なっているにもかかわらず次亜塩素水として販売されているケースが多いので注意が必要です。さらに、新型コロナウイルスに有効かは不明です。次亜塩素酸水についての詳しい記事はこちらを参照ください。

・塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの第4級アンモニウム塩は医薬品や医薬部外品の消毒剤の有効成分ですが、新型コロナウイルス対策として消毒に活用することについては、現時点では評価中です。

・二酸化塩素は、新型コロナウイルス対策として消毒に活用することの有効性については、現時点では確認されておりません。

 

▼人体に絶対に使用してはいけない成分

・メタノール(メチルアルコール)

消毒に用いるアルコールは、通常、70%のエタノールなどが使用されます。メタノールは消毒薬ではありません。吐き気やめまい、昏睡や発作、場合によっては失明を起こす可能性のある危険な成分です。人体への毒性が高いものなので、手指の消毒には絶対に使用してはいけません。メタノールは燃料用アルコールとして、ドラッグストアで安価で売っていますが、消毒用には使用できません。

ちなみに、消毒に使用できるエタノールも、人体に毒性のあるメタノールもまとめて『アルコール』と呼ばれます。メタノールが燃料用アルコールと書かれた瞬間、希釈すれば消毒薬として使用できるんではないかという勘違いが生まれてしまいます。

同じアルコールでも成分によって用途が全く違うので、アルコールと書いてある商品の成分表記を見るように心がけましょう!!

エタノールの商品例ちなみに右の写真が消毒用アルコールとしてしようされているエタノールの代表例です。無水エタノールは水が含まれていない純正なエタノールということです。

 

 

 

 

下の写真が燃料用アルコールとして販売されているチルアルコールの代表例です。

メチルアルコールの商品例

これがドラッグストアで下の写真のように並んでいて間違えずに買うことができますか?

ちなみに燃料用アルコールは安いので、無水エタノールの23倍のお値段です。

安いアルコールを買おうとすると、つい安価な燃料用アルコールを買いそうなものですが、絶対に消毒用として購入しないでください。

薬剤師としては、間違える危険が高いので、消毒薬と横並びに並べてほしくないなと思いますが・・・

こんな風に横並びにされるのは怖いですよね。

■人体に使える消毒薬と使えない消毒薬

【人体に使用できる消毒薬】

エタノール

※あくまで消毒薬なので、口にたり、吸い込んだりするのは避けてください。

【人体には使用できない消毒薬】

次亜塩素酸ナトリウム

次亜塩素水

・次亜塩素酸ナトリウムというと馴染みのない方のいるかと思われますが、「ハイター」のことです。

次亜塩素酸ナトリウムは強アルアリ性で、たんぱく質を溶かしたりするため、手荒れの原因にもなります。人体には使用しない成分です。さらに『混ぜるな危険』の注意書きにもあるように塩酸などの強酸性なもの(トイレ用洗剤など)と混合すると有毒な塩素ガスを発生します。浴室などで洗剤を混ぜたことによる死亡事故も起きているので、取り扱いには注意が必要です。いずれにせよ、換気の良い環境で使用しましょう。

・次亜塩素酸水は人体に使用しても無害とされていますが、次亜塩素水と名乗って、次亜塩素酸ナトリウムの希釈溶液が販売されていたりするため、人体に使用できない分類で記載しています。他の理由として、実際に次亜塩素水は安定性が悪く、通常ポリ容器ではすぐに分解してしまいます。そのため、スプレーボトルや透明容器に入って販売されていること自体現実的はありえないためです。

 

■消毒の適正な濃度

▼エタノールについて(人体への使用OK

6080%が消毒薬に適した濃度といえます。

エタノールは、高濃度溶液中でエタノール分子は、水素結合+疎水結合によりポリマー様構造を形成し、水分子と会合することにより、大きな疎水性表面を持つクラスターを形成していることが報告されています。この構造は、77v/vで究極の状態になるため、この濃度での殺菌力が最も高くなると考えられています。

そのため、85%以上のエタノールでは殺菌力がかえって低下してしまいます。

通常70%のエタノールが販売されていますが、殺菌力が一番高い状態で販売されているということですね。

しかし、濃度の高いアルコールを使用し続けると手荒れを起こし、雑菌が繁殖してしまう可能性がありますので、ハンドクリームなどでのハンドケアも必要です。

さらに63%の濃度があれば、一部の菌・ウイルスを除き十分な殺菌効果が期待できるとされています。手指消毒薬にはそれくらいでいいかもしれません。

▼次亜塩素酸ナトリウムについて(人体への使用NG

0.05%が消毒に適した濃度といえます。

・次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の塩素系漂白剤の成分です。身近なものを消毒するためには、水で0.05%に薄めて拭いた後水拭きをしましょう。噴霧については、絶対に行わないでください。

0.05%以上の次亜塩素酸ナトリウム液の作り方】

メーカー
(五十音順)
商品名 作り方の例
花王 ハイター 水1Lに本品25ml(商品付属のキャップ1杯)
キッチンハイター 水1Lに本品25ml(商品付属のキャップ1杯)
カネヨ石鹸 カネヨブリーチ 水1Lに本品10ml(商品付属のキャップ1/2杯)
カネヨキッチンブリーチ 水1Lに本品10ml(商品付属のキャップ1/2杯)
ミツエイ ブリーチ 水1Lに本品10ml(商品付属のキャップ1/2杯)
キッチンブリーチ 水1Lに本品10ml(商品付属のキャップ1/2杯)

参考資料・・・厚生労働省(社会福祉施設等に対する「新型コロナウイルス対策 身のまわりを 清潔にしましょう。」の周知について)

 

 

 

 

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